種から見えること①
1月24日に奇跡のリンゴの木村秋則さんと野口種苗の野口勲さんの講演会に行ってきました。
これは講演の後のディスカッションの模様。
マイクを持っているのが野口さん、その右隣りが木村さんです。
木村さんについては著書を全部読んでいましたし、活動の内容などを耳にしていましたので、そのお話の内容はほぼ予想通りでしたが、野口さんのお話は、これまで断片的に情報を目にしていたものの、お話を聞くのは初めてでしたので、また、その内容からも、とても印象に残りました。
というか、その内容はちょっとショッキングなものでした。
余り軽率にいろいろな情報を載せるのはどうかという思いもあり、この内容も書くのをためらっていましたが、最近、これに類する情報(広く農業や環境問題という意味で)に複数出会い、やっぱり少しずつ書いていきたいと思うようになりました。
次がいつになるか、私のことなのでわかりませんが(^_^;)、とりあえず、今日は野口さんの講演内容から、私たちが普段食べている野菜の種の話を少し。
<F1種>
これは雑種第一代とか、一代交配種とも呼ばれるように、違った遺伝子タイプの野菜を掛け合わせて生まれた一代目の種のこと。
自分で種を採り(自家採種)、それをまいて野菜を作るとできたものの大きさや形が不ぞろいになる。
(これも、できたものの中から理想的なもののみ種を採ることを繰り返していくと品質もそろってくる→固定種)
しかし、違うタイプのものと交配すると、一代目に限って形も大きさもいいものができ、収量も増える。
これを雑種強勢という。
これは人間でもハーフの人を見るとちょっとわかる気がしますね(^^)!
詳しくは野口さんの種についてのページをご覧ください。
箱詰めにするにしても、店で並べるにしても、見栄えの点でも、今の商業ベースでは形がそろうことが一番の利点なのです。
しかし、F1種には大きな問題があるのです。
<種苗会社が命運を握る>
F1種の利点は一代限りなので、毎年種を買わなければなりません。
専業農家でも、今は自家採種で野菜を作る人はごく一部になっているようです。
種を自分で持たないということになると、種苗会社に依存することになり、今や巨大グローバル企業と化した種苗会社の思うがままにされてしまいかねません。
その兆候はずっと前から現れていて、一部では警告されていましたが、なかなかそういった情報は一般の人の目には触れません。
そのことについて書くと長くなるので省略しますが、過去の日記でも少し書いていますので、よかったらそちらも御覧ください。
そして、F1種にはもっと厄介な問題がありそうだということが、今回の野口さんのお話で出てきました。
<F1種の作り方>
F1種を作るやり方は3種類あるそうです。
ひとつはその野菜のおしべを抜いてしまうこと。
そうしておいて、別の系統のおしべ(花粉)を、おしべを抜いた株のめしべにつけるというやり方。
もうひとつは「自家不和合性」を利用するやり方。
自家不和合性とは、自分の花粉を嫌がる性質で、特にカブヤダイコンなどのアブラナ科で行われるそうです。
この性質は花がつぼみの段階では機能しないので、つぼみを切り開いて自分の花粉をつけると受粉する。
こうしてできた種は自分を複製したものとなり、たとえばこの複製のカブとダイコンを隣どうしにまくと、カブどうし、ダイコンどうしは受粉せず、カブとダイコンの交配したF1種ができるというわけです。
そして三番目が雄性不稔を利用するやり方。
雄性不稔とは、花粉ができない(おしべができない)奇形の株のことです。
オスの不妊症と言ったらわかりやすいですね。
これについても野口さんのホームページに興味深い書き込みがあります。http://noguchiseed.com/hanashi/F1or_4.html
花粉が出ないので、隣に掛け合わせたい品種を植えておけば、そちらと自動的に交配してF1種が簡単にできるというわけです。
1,2番目のやり方よりも効率的なので、今,F1種はかなりの割合でこの雄性不稔が使われているようです。
以下、②へ続く…
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